旭川を”食べる”なら馬場ホルモンの艶塩ホルモンが外せなかった(ホルモン特集1/3)

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旭川の食といったらジンギスカンをビールで流し込むか、日本酒のアテに牡蠣のガンガン焼きにガンガンするかばかりだった僕に、旅人の先輩が言いました。「馬場ホルモン、いっといで」と。

ウワサには聞いていた。小耳にははさんでいた。もともと養豚が盛んだった旭川だから、豚ホルモンを出す店が多いってことは。

ところがもっと深かった。いまや全国区となった塩ダレに漬け込んだ塩ホルモンの発祥地が旭川だったなんて。僕の耳がふさがりがちだったことはさておいて、旅と食の知識と経験で尊敬しまくりな先輩に教えてもらったからには行くしかあるまい。

来ました。

旭川駅から北に伸びる緑橋通を15分ほど歩き、旭川市役所が背となる左に曲がってすぐを右。年季の入った3階建てのグルメスポットの一角にある馬場ホルモン。北海道に移住した両親に会うべく15年ほど年1ペースで旭川に行っていますが、このお店に入ったのは初めてです。

長い歴史がもたらす厚くてぶっとい昭和のトーン。大好き。こういう建物の2階や3階に住みたいとずっと願っています。もちろん電灯は紐でカチカチするヤツで。

僕が伺った日は、緊急事態宣言によるお休みが明けて、目覚めの日だった様子。行列を覚悟してオープン時間と同時に訪ねましたが、貸し切り状態でした。ありがとうございますありがとうございます。

どん。

どどん。

飲み物を頼んだらあとは全自動です。メニューは塩ホルモン一択で、喉を潤しているあいだにおかみさんが揉んでくれた塩ホルモンの皿と玉ねぎが運ばれてきます。

しかし。なんだなんだ、なんなんだ。この豚の中身たちの艶っぷりは。大人で夜でムーディでエロティカルな艶とは違う。はつらつとしたオロナミンC的な艶。こんなにフレッシュでプルルンな豚ホルモン、初めてすぎるわ!

箸でつまんでも新鮮だということが伝わってきます。雄弁すぎます。自己責任ですが、豚ホルモンなのに牛ホルモンくらいレアで行ける。焼くというか炙る。じわりと炭火にさらして、脂が落ちはじめて身の輪郭がちりりと焼けてきたら、レッツ噛む! レッツ喰らう! 

…うわあ…。

次も噛む! 喰らう!

…まああああ…。

苦味、なし。
臭み、なし。

ただひたすらに肉と脂の味が濃い。舌だけじゃなくて喉も喜んでる感じがする。

美味しい豚のホルモンを食べさせてくれる店はたくさん通ってきたけど、馬場ホルモンの塩ホルモンと比べてしまうと華やかな思い出が色褪せてくるような。もち、お店それぞれのタレで美味いホルモンに仕上げる技術は高く評価していますが、内蔵肉の味の1点で馬場ホルモンは並み居る列強を周回遅れにしているところがあります。

いや、ほんとすっごいな。ジンギスカンは関東でも旭川と肩を並べるクオリティの店がありますが、馬場ホルモンの塩ホルモンは唯一無二の存在かもしれません。瓶ビール混みで1200円くらい? このセットのためだけに旭川にいく価値、ありますね。

馬場ホルモン